2020年春から約2年。それまで人との出会いを軸に、ものづくりに没頭してきた僕の生活は大きく変わりました。常識さえも変えてしまうようなうねりの中で、見過ごせなくなったキーワードの一つが、「自律神経の乱れ」。陽の光を浴びて、自由にものに触れ、好きな人に会いに行き、語り、好きなものを食べる。そういう当たり前のことがなかなかできない、不自由な生活が長く続きました。巡りめぐって体には少しずつ不調が現れ始め、ひいては肌の不調にも通じていく。皮膚も当然のごとく体の一部であり、食べたものや生活を表す写し鏡です。僕の身の回りでも、そんな悩みを抱えている人が増えているように感じています。

長きにわたり美容というテーマと向き合う中で、化粧品だけでそれと対峙することは、科学に対する過信で、少し乱暴なことだと思ってきました。機能的な面だけではなく、心の豊かさや安定を保つことは、肌の状態を健全に保つための重要なファクターです。最近、陽の光と共に目覚め、身の回りを整えることをルーティン化し、僕自身を「調律」していく時間を大切にしています。体と心をフラットな状態に戻すことで、自分の核となる部分は何を求めているのか。そんなことを考えながら、内から湧き上がる声に対して身を委ねていくと、不思議と自分のあるべき姿が見えてくることに気づきました。そういう自問自答の機会と、思考の調整が体現できる場所をつくりたい。そんな思いから、ensoが形づくられていきました。

心地よい香りに癒される。おいしいものを食べる。それだけが目的ではなくて、体験を経て自分はどう感じたのか。香りを通じて自然と繋がること。生まれ育った地域で獲れる食材や、その時々の季節のものを食すことで整う感覚。そんなさまざまなインプットを通し、感覚を少しずつ研ぎ澄まして、自分の声にもっと素直になってほしいと思っています。新たな発見や出会いは、円のように繋がり、自分自身の糧になります。僕はその大切さを、もっと皆さんに伝えたい。ensoには、これからの生活を彩っていくエッセンスがたくさん散りばめられています。一人ひとり求めることが異なり、感じることが違うからこそ、それぞれの「気づき」が生まれるはずです。

どうぞ自由に心の向くままに、人生を豊かにする出会いを、見つけにきてください。

Director　茂田 正和